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つまをめとらば [book] [青山文平]

sample1.jpg青山文平/文藝春秋/お薦め度 ★★★★

直木賞受賞作

六編収録の短編集

元禄から百年、武士が武士として生き抜くことが難しくなった時代、人生に戸惑う男たちをしり目に、生き生きと生き抜く女たちが躍動する。

表題の「つまをめとらば」、幼馴染の貞次郎と10年振りの再会、屋敷の庭にある家作を貸してほしいと頼まれ、話はとんとん拍子にすすむ。この歳、56歳、になって所帯を持とうというのが理由だった。

しかし、所帯をもとうという女はいっこうに来ない・・・

貞次郎との空白の時間をお互いに語るなか、40代のころ下女の奉公に来た佐世、童女の顔にはちきれんばかりの身体、と貞次郎が一時噂になったことはさすがに聞けなかった。

ふたりの穏やかな生活が進む中、行方知れずだった佐世が味噌を売りに来る。以前の身体は肉と脂ではちきれそうだった。貞次郎も味噌を売りつけられ、昔話をしたようだった。

女とはたいしたものだ、どうやってもかなわない!貞次郎は家作を出て女に死に水をとってもらうことを決意する。

ふたりの味のある会話が実にいい、青山ワールド全開!



タグ:直木賞
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山月庵茶会記 [book] [葉室麟]

sample1.jpg葉室麟/講談社/お薦め度 ★★★★

黒島藩シリーズ

16年ぶりに故郷、黒島藩に茶人として帰って来た柏木勒負、嘗て藩内を二分した派閥の領袖であったが、政争に敗れ失脚すると致仕し国を出た。その帰国は藩内の関心をよんだ。

勒負の帰国の目的は派閥抗争の最中、自害した妻の死の真実を知るためだった!?

小さな庵に藩士たちを招きお茶を点てたり、あるときは、嘗ての政敵宅の茶会に招かれたりすることで、次第に当時の模様が明らかになっていく。当時の関係者の証言をつみかさねるところがミステリー・・・

帰国した勒負に寄り添う、養子夫婦の妻、千佳。遠慮のない千佳の父親であり勒負の親友でもある又兵衛。ふたりの好対照の暖かさがうれしい。

なにも釈明せずに死んでいった妻の心根を理解しようとすることがもたらすもうひとつの闇を勒負は解決することが出来たのだろうか?

ミステリー仕立ての時代小説、流石、葉室麟!!!



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刺青の殺人者 [book] [アンドレアス・グルーバー]

sample1.jpgアンドレアス・グルーバー/東京創元社/お薦め度 ★★★★☆

シリーズ第二弾

物語は猟奇的殺人事件から始まる。全身の骨を折られ、血を抜かれた死体。殺人者は医師だと名乗る。

同様の死体が貯水池から見つかる。娘の遺体確認に来た母、ミカエラは心に決める。娘の死の理由と姉と一緒に家出した妹を探しだすことを・・・

事件を担当する上級警部ヴァルター、ミカエラが捜査に首を突っ込むことを容認?しながら調べを進める。いつしか「病欠」と偽り、過去の類似した殺人事件を追って各地をめぐることになる。

一方、弁護士のエヴェリーンは殺人事件の容疑をかけられた医師の依頼を引き受ける。いつしかヴァランダーとエヴェリーンの事件が交わるのだが・・・

なんといっても事件をひっかき回すミカエラの活躍ぶり?がすごい。娼婦のまねごとをしたり、手にタトゥーを彫ったり、と。ここぞというところで裏をかかれるお人よしのヴァランダーだが、ついついミカエラに協力してしまう。

ラストの三人そろい踏みの大活劇も用意された大満足の一冊!



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完璧な家 [book] ['17 海外編]

sample1.jpgB・A・パリス/ハーパーBOOKS/お薦め度 ★★★★

サイコサスペンス

夫はハンサムな辣腕弁護士、やさしく愛されていることは誰もがみとめる、郊外の豪邸・・・グレースと夫とのロマンチックな出会い・・・どれをとっても理想の夫婦!?

物語は過去と現在を行き来しながら進む。

グレースにはダウン症の妹ミリーがいる。夫はミリーが卒業したら一緒に住むことを条件に結婚を申し込んでくれた。理想の結婚?は新婚旅行のタイで一転する。信じられない夫の豹変!

リードにつながれた犬のように自由を奪われていくグレース。「完璧な家」からひとりで出ることは許されず、囚人同然の生活が始まる。他人には理想の夫婦を演じながら・・・

完璧な家からの脱出は叶うのだろうか?まもなく一緒に住む妹ミリーはどうなるのか?

ありがちなストーリーだが、サイコ感満載な一冊!


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彼女が家に帰るまで [book] [ローリー・ロイ]

sample1.jpgローリー・ロイ/集英社/お薦め度 ★★★★

MWA賞ノミネート作

1950年代後半のデトロイト、栄光のアメリカに景気後退の影が忍び寄る。黒人売春婦が殺された事件に異常に興味を示すマリーナ、長女を亡くし、いまだそのショックから抜け出せないジュリア出産間近のグレース。

身近なところで事件は起きる。22歳のおとな子供エリザベスが忽然と姿を消す。街をあげて捜査に乗り出す住人。事件をきっかけに三人の妻たちの関係とそれぞれの夫との関係に微妙な波風が立ち始める。

黒人売春婦と夫の関係を疑う一方、嘘に嘘を重ねるマリーナ。遊びに来た双子の姪に翻弄されながら、子供を望まぬ夫との距離に悩むジュリア。夫には言うことの出来ない秘密を抱えてしまったグレース。

黒人娼婦殺人事件とエリザベス失踪事件はつながっているのか?三人の鬱積した思いの行きつく先はどこなのか?

物語の進行と題材のギャップ、進行はソフト、題材はハード、がサイコ・サスペンス感を助長させている!?

処女作の「べント・ロード」はMWA賞処女長編賞受賞、二作目の本書はMWA賞ノミネート、三作目の「地中の記憶」はMWA賞受賞、なんともすごい作家!


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