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かけおちる [book] [青山文平]

sample1.jpg青山文平/文藝春秋/お薦め度 ★★★★☆

「欠け落ちる」

その一、二十二年前、かけおちた妻を追った阿部重秀、今は藩の執政、いわゆる「妻仇討ち」。

その二、当時、四歳の娘が母親と同じになってかけおちた。娘故、連れ戻される。

その三、娘に婿殿を迎える。その婿殿は江戸詰め。娘が再び阿部重秀の知恵袋、森田啓吾とかけおちる。

その四、阿部重秀と「妻仇討ち」にあったはずの妻がかけおちる。

妻と娘の女心の真実はいかに?重秀の変心の真実はいかに?

キーワードは「慮る」(おもんぱかる)。妻が夫、重秀の何を慮ったのか、娘が婿殿の何を慮ったのか、最後に夫、重秀が妻の何を慮ったのか・・・

読了感爽やかな青山ワールドでした。


ネバー・ゴー・バック [book] [リー・チャイルド]

sample1.jpgリー・チャイルド/講談社/お薦め度 ★★★★

トム・クルーズ主演

過って所属した部隊のターナー少佐に面会行くリーチャー、いきなりあらぬ嫌疑をかけられる。傷害致死容疑とリーチャーの子供を産んだ母親からの支援要請・・・しかも強引に軍属に戻される。

肝心のターナーも嫌疑をかけられ拘束されていた。営倉につながれたリーチャーはターナーを引き連れ脱走、軍に追われることになる。

ここからいつものジャック・リーチャー・シリーズへ。

リーチャー、ターナーの部下たちの協力を得てひとつづつ嫌疑を紐解いていくが、子供と母親の件は実際に会って話を聞く必要があった。

軍、FBI、首都警察に行く手を阻まれるふたり。果たしてリーチャー自身の嫌疑、加えてターナーの嫌疑も晴らすことが出来たのか?

段々クオリティが落ちて行く?本シリーズだが、ついつい手にしてしまう。それだけジャック・リーチャーが魅力的だということか!?


地中の記憶 [book] [ローリー・ロイ]

sample5.jpgローリー・ロイ/早川書房/お薦め度 ★★★★

MWA賞受賞作

1936年、サラとジュナ、姉妹を中心とする話と、1952年、アニーを中心とする話が交互に語られる。

1952年、アニーのハーフバースデー、16歳の6か月前の日、成女の日と言われ、真夜中に井戸を覗き込むと未来の伴侶が見えるという言い伝えがある。アニーに無理やりついてきた妹のキャロライン、ふたりが帰りに見たものはペイン家の老母の死体だった。

1936年サラとジュナ、長女的なサラと奔放なジュナ、対照的な姉妹と男としては線の細い弟デイル。ジュナとデイルが作業に出掛けるが、帰りが遅いので探しにいくと乱れたブラウス、手から出血したジュナを発見する。デイルの姿は見えない。

ジュナの証言をもとに捜索が開始され、ペイン家の長男が重要参考人として浮かびあがり、彼の証言を発端に瀕死の重傷を負ったデイルが発見される。

ジュナがペイン家の長男に何をされたか、デイルの発見証言をもとに裁判にかけられた長男は絞首刑を言い渡され、ジュナが女児を出産、殺される。

1936年に起こった殺人事件が16年後のアナ一の家族、ペイン一族・・・に引継がれる。ゆっくりと流れる語り口が筆者の持ち味なので少々の我慢が必要かも!?


ミスター・メルセデス [book] [~'16 海外編]

sample1.jpgスティーヴン・キング/文藝春秋/お薦め度 ★★★★☆

MWA賞受賞作

職を求め市民センターに集まる多くの人々、その列にメルセデスが突っ込む。いく人も撥ね、轢き、走り去る。死者8人、負傷者多数・・・メルセデスは盗難車、犯人は「メルセデス・キラー」と言われ未だ捕まっていない。

退職刑事・ホッジスのもとに一通の手紙が届く、差出人は「メルセデス・キラー」。退職後、生きる目的を失ったホッジスを嘲笑うかのような内容に元刑事の魂が甦る。警察の手を借りず自分の手でこいつを捕まえてやる!

メルセデスを盗まれた持ち主、女性、は自殺、その母親と妹から重要な証言を得るホッジス、犯人と女性はチャットで繋がっていた。ホッジスも手紙でユーザーネームを用意され、犯人とホッジスのチャットを通した駆け引きが始まる。

自殺した女性の妹、ジャネルから探偵役を仰せつかるホッジス。その過程でお互いに惹かれあうふたりだったが、蜜月は長くは続かなかった。「ミスター・メルセデス」の仕掛けた罠にジャネル落ちる。ホッジスの身代わりとして・・・

ホッジスに屈辱を味あわせる為、更なる大量殺人を企てるミスター・メルセデス。それに対抗するホッジス、ホッジスの友人で高校生のジェローム、ジャネルのいとこで40代の少女?ホリー。

過保護に育てられたホリーが大変身、大活劇のヒロイン?となるラストは圧巻。サービス精神満載のMWA賞受賞作。

追伸:本書はホッジス、ジェローム、ホリーの三人組が活躍する三部作の第一章、すでに第二章、第三章も書き上がり邦訳を待つだけのようです。


タグ:MWA

ルート66 [book] [キャロル・オコンネル]

sample1.jpgキャロル・オコンネンル/東京創元社/お薦め度 ★★★★☆

 
キャシー・マロリー・シリーズ第九弾

物語はいきなり、マロリーの部屋から女の死体。部屋の主はどこにもいない。マロリーが殺したのか!?

マロリーは自分が生まれる前に書かれた実父の手紙をなぞる旅に出ていた。それは「ルート66」をなぞる旅でもあった。

マロリーの旅はなんの旅かというのは徐々に明らかになるが、その前に「ルート66」上で起きた連続殺人事件に出くわすことになる。

クレジットカードの履歴をもとにマロリーのあとを追う相棒のライカー、それに加わるチャールズ、行方不明の子供を持つ親の大集団、事件を追うFBI捜査官、シカゴ市警の警察官らが絡み連続殺人事件は混迷の度を増す。

マロリーは被害者集団の子供を守り、犯人をあげることが出来るのか?また「ルート66」の旅の目的は達成することが出来たのか?

長らくくすぶっていたマロリーの自分探しが明らかになる待望の一冊!


半席 [book] [青山文平]

sample1.jpg青山文平/新潮社/お薦め度 ★★★★☆

2016年「このミス・・・」国内編第4位

当人のみならず、その子も旗本と認められる永々御目見以上の家になるには、少なくとも二つの御役目に就く必要がある。これを果たせなければ、その家は一代御目見の半席となる。

片岡直人は無役の小普請組から這い上がり徒目付に抜擢されたが、もうひとつの御役目、勘定方の役を得なければ旗本になれない。まだ見ぬ子のためにも半席から抜け出るのが直人の目標である。

そんな直人に上司の組頭、内藤雅之から表向きの御用と全く違う「頼まれ御用」を仰せつかる。直人がそこで求められたのは、なぜその事件が起きねばならなかったのか解き明かすことだった。

釣りの最中、筏から突然飛び込んだ老人、真桑瓜を出された老人がいきなり切りつけた・・・「爺殺し」?の直人と言われるように老人にまつわる話が六編。

直人の心の変化が手にとるようにわかるような構成。巻末の「役替え」がひときわ心に響くのも構成の妙!

初めて手にする作家だが、さすが直木賞作家と唸ってしまった。どの短編も結末の切れ味が半端ない!何冊か読んでみたい作家!


紙片は告発する [book] [D・M・ディヴァイン]

sample1.jpgD・M・ディヴァイン/東京創元社/お薦め度 ★★★★

Who done it ?

ルースは町政庁舎のタイピスト、町議会議員の娘であるにもかかわらず、周囲から軽んじられている。そんな彼女が町書記官の部屋で奇妙なメモを見つけ、それを警察に知らせると周りに吹聴する。

その夜、ルースは何者かに殺される・・・

今回の探偵役は副書記官のジェニファー、メモの見つかった部屋の主と不倫関係。

関係者に事情を聞いて回るジェニファーのもとに一通の脅迫状が届く、不倫関係をばらす、と。

その上、不倫相手が逮捕され窮地に立たされるジェニファー、上司との関係を知られることを覚悟の上、調査を続行する。

町長選をめぐる多数派工作、公共事業の不正入札だったり、周りの状況はドロドロ、ステークホルダー、収入役、長老議員、3名の副書記官、建設会社社長、の思惑がそれらに絡む。

犯人は誰?相変わらず愉しめる一冊です。


悪魔の星 [book] [ジョー・ネスボ]

sample1.jpgジョー・ネスボ/集英社/お薦め度 ★★★★

刑事ハリー・ホーレ・シリーズ

前作「ネメシス」につづく完結編。

同僚エッレンの殉職事件をひとり追うハリー、証拠がつかめず捜査中止を命じられ、酒に溺れ免職処分が下される。恋人のラケルとの間もギクシャク・・・

そんな中、事件が起きる。ひとり暮らしの女性の射殺死体、人差し指が切断され、更に瞼から星型の赤いダイヤモンドが見つかる。

俺の事件じゃないとシカトするハリー、同様の事件が次々起こるに至り、正式な処分が決定するまでこれらの事件にかかわることに・・・

ここまでが上巻、下巻は本来のハリーが顔を出す。酒を絶ち、猟奇的連続殺人事件と同僚エッレンの事件、二つを追う。

ラストの駆け引きは、さすがジョー・ネスボ!


ビブリア古書堂の事件手帖7 [book] [三上延]

sample1.jpg三上延/メディアワークス/お薦め度 ★★★★

シリーズ完結編

前作の刊行が2014年12月、だいぶ時間が経ってしまいました。前作のおさらいからスタート、太宰治自家用の「晩年」事件に大きな代償を払ってケリをつける栞子。

そこで登場した道具商から明治時代に印刷された邦訳本「人肉質入裁判」、「ヴェニスの商人」、を渡される。ここから栞子とシェークスピアの物語が始まる。

栞子の母、智恵子、の父親、傲慢な古書店主だった、が仕掛けたシェークスピアの古書にまつわる鑑定、入札に母、智恵子と対峙?しながら参戦する栞子。

その一方で栞子と大輔の結婚話、栞子の祖母が登場したりと完結編にふさわしい内容。もちろんお宝を見つけ出す件も見逃せません。

著者も以前言っていましたが、準備、膨大な資料を読み解く、が半端ないようです。完結編の刊行に2年を要したのも納得!

追伸:スピンオフがあるようですので期待したい!


ゴールデン12 [book] [~'16 国内編]

sample1.jpg夏樹静子/文藝春秋/お薦め度 ★★★★

12編収録の短篇集

本当に久々に手にした作家。昭和46年~平成5年の短編作品。

短編の名手でもある夏樹静子、巻末の鼎談に「推理小説」と「ミステリー」の二文字が混在、そんな時代の作品.

「弁護士 朝吹里矢子」、「検事 霞夕子」はTVでもお馴染みのシリーズ。エラリー・クイーンと親交があり、クイーンのオマージュ作とも言える「Wの悲劇」(薬師丸ひろ子主演)も夏樹静子の作品。

昨年3月に亡くなる。

12編のなかでブラックユーモアの効いた「特急夕月」、「一億円は安すぎる」、弁護士朝吹里矢子シリーズ「二つの真実」等々盛りだくさんの短篇ばかり。どこから読んでも愉しめます。