So-net無料ブログ作成
青山文平 ブログトップ

遠縁の女 [book] [青山文平]

sample1.jpg青山文平/文藝春秋/お薦め度 ★★★★

短編集

三編収録、そのどれもが「女」が鍵を握る。

時代は著者が得意とする、武士が武士らしく生きぬくことが難しい時代。

「機織る武家」、血のつながらない三人、義母、入り婿、後妻、武家として生き抜くことが出来ない内証、後妻は昔取った杵柄で機を織る・・・

「沼尻新田」、否応ながら新田開発を父から命じられ、実地検分に訪れた先でひとりの娘に出会う・・・

「遠縁の女」、時代遅れな武者修行に出させられた男、父の急逝で五年振りに帰国。出立前に気にかかっていた遠縁の女から投げかけられた謎の言葉・・・

「機織る武家」は後家の心に引っかかっていたものが解けるラストがいい・・・「沼尻新田」は新田開発の真の目的がいい・・・「遠縁の女」は女の投げた罠?に捻りが効いてていい・・・青山ワールドがいい!

nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:

鬼はもとより [book] [青山文平]

sample1.jpg青山文平/徳間書店/お薦め度 ★★★★

直木賞候補作

藩札掛を命じられたはみ出し者、奥脇抄一郎、いつしか藩札の仕組みに魅入られ、命を賭けるに値するお勤めと心得るようになる。藩の財政が一段とひっ迫するなか、藩札の十割刷り増しを命じられる。藩の経済実態にそぐわない命、抄一郎は版木を持って欠け落ちた。

欠け落ちた先は江戸、万年青を栽培しながら売り歩く浪人、その裏で藩札反行指南を生業にしていた。今でいうフリーのコンサルタント・・・

自藩での失敗を鑑みた新しい仕法は、最初に相談のあった東北の最貧小藩で実施することに決め、実際にこの目で確かめるべく東北へ赴く。

御主法換えを率いる執政、梶原清明と現況の輪郭を掴んだ抄一郎は、いきなり本題に入った。小藩の問題は貧しさゆえの優しさ、責めを問わないし、負わないだった。それを踏まえ四つの仕法を説く。

清明は早速行動を起こす。責めを問わない、負わないの象徴、前筆頭家老、父親、に切腹を命じると共に、自ら鬼となって粛清を断行していく。

果たして抄一郎の指南は実を結ぶのか!?

時代小説には珍しい経済政策の話を軸に、「武士とは死ぬことと見つけたり」を体現した男の物語。

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:

白樫の樹の下で [book] [青山文平]

sample1.jpg青山文平/文藝春秋/お薦め度 ★★★★

松本清張賞受賞作

時は天明、江戸幕府が開かれて百八十年余り、各藩とも財政ひっ迫、戦のない、武士が武士らしく生き抜くことが難しい時代。貧乏御家人は傘張りなどの内職で糊口を凌ぐ。

世間受けする竹刀による乱取りには目もくれず、木刀の形稽古を黙々と続ける貧乏御家人の三人、村上登、青木昇平、仁志兵輔、昇平はひょんなことから浪人を切り、それがきっかけで出仕した。

登が蝋燭屋の三男坊、後に武家となる、から一口の名刀を預かったことから物語が動き出す。

辻斬りを捕らえることで出仕しようとする兵輔、兵輔の妹にひかれる登、妹を昇平の嫁にと思う兵輔・・・登の周りで蝋燭屋の三男坊、兵輔の妹が斬殺される。辻斬りの仕業!?

結末で二度、名刀を抜くことになる登、誰に?何のために?

いつもの青山ワールドと趣を異にする一冊。

nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

つまをめとらば [book] [青山文平]

sample1.jpg青山文平/文藝春秋/お薦め度 ★★★★

直木賞受賞作

六編収録の短編集

元禄から百年、武士が武士として生き抜くことが難しくなった時代、人生に戸惑う男たちをしり目に、生き生きと生き抜く女たちが躍動する。

表題の「つまをめとらば」、幼馴染の貞次郎と10年振りの再会、屋敷の庭にある家作を貸してほしいと頼まれ、話はとんとん拍子にすすむ。この歳、56歳、になって所帯を持とうというのが理由だった。

しかし、所帯をもとうという女はいっこうに来ない・・・

貞次郎との空白の時間をお互いに語るなか、40代のころ下女の奉公に来た佐世、童女の顔にはちきれんばかりの身体、と貞次郎が一時噂になったことはさすがに聞けなかった。

ふたりの穏やかな生活が進む中、行方知れずだった佐世が味噌を売りに来る。以前の身体は肉と脂ではちきれそうだった。貞次郎も味噌を売りつけられ、昔話をしたようだった。

女とはたいしたものだ、どうやってもかなわない!貞次郎は家作を出て女に死に水をとってもらうことを決意する。

ふたりの味のある会話が実にいい、青山ワールド全開!



タグ:直木賞
nice!(3)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

伊賀の残光 [book] [青山文平]

sample1.jpg青山文平/新潮社/お薦め度 ★★★★

「流水浮木ー最後の太刀ー」改題

「伊賀の残光」の方がはるかにいい表題!

主人公、山岡晋平は鉄砲百人組の老武士、門番のお役目はひと月に四、五回ほど、その他はサツキの栽培によって生計を補っている。

門番のお役目ではあるが時代の変遷とともに、その役割は形ばかりのものとなっていた。山岡も伊賀衆ではあるが伊賀を知らない世代であった。

事件は同心の友が殺されることから始まる。下手人はすぐに捕まるが移送の途中、誰も気づかない鮮やかに手口で刺殺される。

事件の謎を探るなか、伊賀衆の伊賀に対する思い、伊賀衆ならではの隠密御用を知ることになる。しかも山岡の友、ふたりはその隠密御用に加担していた・・・

また、友のひとりが隠密御用の最中殺されるに至り、その御用の始末をつけることを決意する山岡・・・

時間の経過、戦のない世界、財政ひっ迫、とともに武士の生きざまも変化せざるを得ない時代。そんな時代をひょうひょうと生き抜く山岡の生きざまが清々しい。


nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

約定 [book] [青山文平]

sample1.jpg青山文平/新潮社/お薦め度 ★★★★

六編収録の短編集

六編のなかに昨年、「このミス・・・」で国内編4位となった「半席」の一編が収録されている。

表題の「約定」、果たし合いの約定を指す。21年前、父親、望月三郎が武士の一分が立たないということで腹をめした。その息子、清心郎も果たし合いの装束で父と同じように腹をめす。

望月三郎の死は名族、望月氏の末裔であることを疑われたことで武士の気骨を示すためのものだった。息子、清志郎はなぜ果たし合いをすぐに申し込まなかったのか?清志郎が果たし合いを申し込んだのは父の死から十八年後・・・

果たし合いを申し込まれた野添信一郎と清志郎は竹馬の友、果たし合いの期日を三年前に約定した。しかし、清心郎の前に真一郎は現れなかった。なぜ?

お互いに「慮る」ことから起こった事件!?「かけおちる」と同様に慮るがキーワード。


nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

かけおちる [book] [青山文平]

sample1.jpg青山文平/文藝春秋/お薦め度 ★★★★☆

「欠け落ちる」

その一、二十二年前、かけおちた妻を追った阿部重秀、今は藩の執政、いわゆる「妻仇討ち」。

その二、当時、四歳の娘が母親と同じになってかけおちた。娘故、連れ戻される。

その三、娘に婿殿を迎える。その婿殿は江戸詰め。娘が再び阿部重秀の知恵袋、森田啓吾とかけおちる。

その四、阿部重秀と「妻仇討ち」にあったはずの妻がかけおちる。

妻と娘の女心の真実はいかに?重秀の変心の真実はいかに?

キーワードは「慮る」(おもんぱかる)。妻が夫、重秀の何を慮ったのか、娘が婿殿の何を慮ったのか、最後に夫、重秀が妻の何を慮ったのか・・・

読了感爽やかな青山ワールドでした。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

半席 [book] [青山文平]

sample1.jpg青山文平/新潮社/お薦め度 ★★★★☆

2016年「このミス・・・」国内編第4位

当人のみならず、その子も旗本と認められる永々御目見以上の家になるには、少なくとも二つの御役目に就く必要がある。これを果たせなければ、その家は一代御目見の半席となる。

片岡直人は無役の小普請組から這い上がり徒目付に抜擢されたが、もうひとつの御役目、勘定方の役を得なければ旗本になれない。まだ見ぬ子のためにも半席から抜け出るのが直人の目標である。

そんな直人に上司の組頭、内藤雅之から表向きの御用と全く違う「頼まれ御用」を仰せつかる。直人がそこで求められたのは、なぜその事件が起きねばならなかったのか解き明かすことだった。

釣りの最中、筏から突然飛び込んだ老人、真桑瓜を出された老人がいきなり切りつけた・・・「爺殺し」?の直人と言われるように老人にまつわる話が六編。

直人の心の変化が手にとるようにわかるような構成。巻末の「役替え」がひときわ心に響くのも構成の妙!

初めて手にする作家だが、さすが直木賞作家と唸ってしまった。どの短編も結末の切れ味が半端ない!何冊か読んでみたい作家!


nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:
青山文平 ブログトップ