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流 [book] [番外編]

sample1.jpg東山彰良/講談社/お薦め度 ★★★★

史上最強の直木賞受賞作!?

抗日戦争、国共内戦、台湾統治、内省人vs外省人・・・激動の時代を生き抜いた祖父が1975年、蒋介石の逝去の直後、何者かによって両手、両足を縛られ、浴槽に沈められていた。

孫の葉秋生は高等中学に通う17歳、無軌道な青春を謳歌していた彼が祖父の第一発見者となる。

高校退学、大学受験失敗、初恋、ヤクザとの抗争、軍隊生活、日本での仕事・・・いつまでも秋生に付きまとう祖父の死。

祖父の事件の根っこは中国。危険を冒して中国に渡ることを決意する秋生。台湾、日本、中国にまたがる真実は如何に?

台湾、中国の大家族制による血の濃さと憎しみあった時代が本書の大きなポイント。祖父の犯人探しと言えばミステリーになるが、本書はそうではない。流浪の軌跡、三世代に渡る壮絶な歴史だ。

常なら直木賞候補作の「若冲」/澤田瞳子も受賞のレベルにあったが、本書が強すぎ弾かれた経緯あり。史上最強の直木賞受賞作!


小説 土佐堀川 広岡浅子の生涯 [book] [番外編]

sample1.jpg古川智映子/潮出版社/お薦め度 ★★★★☆

びっくりポンや!

朝ドラ「あさが来た」の原案本。

ご存じの通り視聴率25%超えの朝ドラ、主人公、白岡あさのモデルは女実業家の広岡浅子。浅子の実家は三井十一家のひとつ油小路三井家。商才に長けた血筋。

毎朝見ていますが、原案本の本書を大幅に脚色した、脚本家、大森美香、本がひかっていますね。

ドラマでは九州での炭鉱経営を放映中、続いて銀行経営、生命保険会社の合併・・・日本女子大の創立に尽力・・・実業家として、女性の地位向上のためわき目も振らず時代を走り抜けた女の一代記が綴られています。

ドラマと原案本を比べながら見るのもいいかもしれませんね・・・

朝ドラ初の時代劇、大河ドラマでもよかったのではという声もありますが、あなたはいかがでしょうか?


漂砂のうたう [book] [番外編]

sample1.jpg木内昇/集英社/お薦め度 ★★★★

直木賞受賞作

御一新、部屋住みの次男坊にして廓の「立番」、定九郎。

水底に溜まっている砂利粒、地上で起こっていることが見えないのに、風が吹いて水が動けばわけもなく揺さぶられる。地面に根を張る術もなく、意思と関わりなく流され続け、一生そうして、過ごしていく。

地上で起こっていること、西郷が西で戦いを起こし、その一方で自由民権をとなえる、から切り離されているが、わけもなく揺さぶられる「漂砂」のごとき定九郎。

風が吹いて水が動くとは、花魁の足抜きに否応なく加担させられ、わけもなく揺さぶられる「漂砂」のごとき定九郎。

日常からの脱却、逃れようともがいてはみたものの、また日常に舞い戻る。稀に見るアンニュイな時代小説?だが、ラストの数ページは清々しい。


タグ:直木賞

櫛挽道守 [book] [番外編]

sample1.jpg木内昇/集英社/お薦め度 ★★★★☆

中央公論文芸賞、柴田練三郎賞受賞作

江戸末期、ペリー来航、通商条約調印、桜田門外の変、皇女和宮降嫁・・・四方を山に囲まれた信濃国の薮原宿で櫛を挽く親子の物語。

父、吾助と板の間で櫛挽き作業を続ける娘、登瀬、父の技を見よう見まねで覚えようとする姿は弟子をも凌ぐ。そこには弟、直助の死によって、家を継ぐ、父の技を継ぐ決意が。

多才な弟が草紙、村に伝わる伝説を弟なりに脚色、を描き商いをしていたことを知り、驚愕する登瀬。その一方で弟の描いたものをすべて見てみたいと願う登瀬も・・・・

時代は江戸末期、古い体制が崩れ、新しい体制への過渡期を迎える。登瀬を取り巻く環境も大きく変わろうとする。一端は決まった縁組を父が反故にし、村から総スカンを食ってしまう。そんな中、ひとりの男、江戸で櫛挽きの修行をしてきた実幸が弟子入りを願い出、許される。

天才肌の実幸、努力家の登瀬。ふたりが夫婦になり父の跡を継ぐことに。夫のやり方、旧体制に風穴を開けようとする、に馴染めぬ登瀬の姿が。ふたりに隙間風が!?そんなふたりを繋いだのは弟の草紙の全編だった。

櫛を挽く描写、時代の流れ、人物造形・・・どれをとっても上手い!直木賞受賞作「漂砂のうたう」も手にしたい・・・・


五郎冶殿御始末 [book] [番外編]

sample1.jpg浅田次郎/中央公論新社/お薦め度 ★★★★☆

「柘榴坂の仇討」の原作

時代は幕末から明治へ。武士が武士でなくなった悲哀と、武士魂、誇り、の折り合いのつけどころを描いた短編集。六編収録されているなかの一編に、9月20日封切りの「柘榴坂の仇討」あり。

表題の「五郎冶殿御始末」はもちろん、「遠い砲音」もいい作品。

映画化された「柘榴坂の仇討」は桜田門外の変に絡む近習と水戸藩士の物語。六編のなかでは静と動の絵づらが一番いいようだ。雪舞う柘榴坂の俥が静、桜田門外の変が動と・・・

六編とも心に響く作品!


永遠の0 [book] [番外編]

sample1.jpg百田尚樹/講談社/お薦め度 ★★★★

デビュー作にして大ベストセラー

遅まきながら・・・2006年刊行、2009年文庫化、300万部の大ベストセラー。出版不況と言われるくらい本離れが激しい時代、10万部売れればベストセラー、前回直木賞受賞作の桜木紫乃/「ホテルローヤル」は50万部の大ベストセラー。それにしても300万という数字が如何に凄いか・・・

元特攻隊の祖父探しの旅、孫の姉弟が母親になり替わり・・・祖母は祖父のことを語らず亡くなる。今の祖父は祖母の二番目の夫。

厳然たる史実、ミッドウェー作戦、ガダルカナル作戦、インパール作戦、レイテ海戦、沖縄戦、をベースに、戦友会の年老いた証人をひとりひとりあたる姉弟。そこで判明する祖父の人間性、飛行機乗りとしては天才だが、臆病者・・・違和感を覚えながら旅は続く。

愛する妻子のため必ず帰ると約束した祖父がなぜ終戦間近に特攻で亡くなったのか?

物語的には最後に驚愕?の事実が判明するわけだが、膨大な資料を読み解いた百田尚樹の大東亜戦争に対する「重い」思いが窺える。その一端を窺わせる場面とは、少々ながくなるが、

「・・・私はあの戦争を引き起こしたのは、新聞社だと思っている。日露戦争が終わって、ポーツマス講和会議が開かれたが、講和条約をめぐって、多くの新聞社が怒りを表明した。こんな条件が呑めるかと、紙面を使って論陣を張った。国民の多くは新聞社に煽られ、全国各地で反政府運動が起こった。日比谷公会堂が焼き討ちされ、講和条約を結んだ小村寿太郎も国民的な非難を浴びた。反戦を主張したのは徳富蘇峰の国民新聞くらいだった。その国民新聞もまた焼き討ちされた・・・戦前大本営発表をそのまま流し、毎日、戦意高揚記事を書きまくった。戦後、日本をアメリカのGHQが支配すると、今度はGHQの命じるままに、民主主義万歳の記事を書きまくり、戦前の日本がいかに愚かな国だったかを書きまくった。まるで国民全部が無知蒙昧だったという書き方だった。自分こそが正義と信じ、民衆を見下す態度は吐き気がする・・・」

でも、なぜ、本書が大ベストセラーなの?わたしにはよくわからない。歴史ミステリー?として読み解くことしか・・・

大東亜戦争に関するの名著のひとつ、「失敗の本質」/中公文庫、もぜひ一読あれ!


直木賞候補作 [番外編]

sample3.jpg直木賞候補作

原田マハ「楽園のカンヴァス」が直木賞にノミネートされました。

ひよっとすると直木賞?というふうに書きました。

候補にあがった以上、ぜひ獲得してほしいものです。

発表は7月17日(火)、愉しみにしています。


黒南風(くろはえ)の海 [book] [番外編]

sample1.jpg伊藤潤/PHP研究所/お薦め度 ★★★★

「本屋の選ぶ時代小説大賞2011」

1592年、朝鮮出兵、「文禄の役」。1597年、朝鮮再出兵、「慶長の役」。二度の朝鮮出兵に翻弄された男の物語。

加藤清正の鉄砲隊を預かる佐野屋喜兵衛、朝鮮軍の会計士・良甫鑑(金宦)、殺戮を繰り返すなか、ふたりの立場がいつしか入れ替わる。喜兵衛は降倭として朝鮮のために、金宦は附逆として日本のために・・・

朝鮮も明も日本も、なんら益のない、ただただ国を衰退させるだけの戦い。その陰でたくさんの民が犬死。そんな戦況のなか、ふたりの国を思う気持ち、民を思う気持ちは立場は違っても変わるものではなかった。

秀吉の愚行に翻弄されながら信念を貫いた男のドラマ


新徴組 [book] [番外編]

sample3.jpg佐藤賢一/新潮社/お薦め度 ★★★★

沖田総司の義兄、沖田林太郎らの物語

会津藩預かりの新撰組、庄内藩預かりの新徴組、新撰組には沖田総司、新徴組には義兄の沖田林太郎。

日本史の教科書では「戊辰戦争」のなかで、一行か二行触れられている。東北諸藩は、慶応4年5月に奥羽越列藩同盟を結成して新政府に反抗しようとした。しかし、多くの東北諸藩は戦意がなく、同年9月には会津若松城が孤立のなかで落城した・・・

要は薩長土肥(西軍)VS仙米会庄(東軍)の構図。

新撰組から見た維新はたくさんありますが、庄内藩預かりとなった新徴組の維新、東北から見た維新、は希有、著者に敬服。しかも、沖田総司の義兄が新徴組に加わっていたなんて・・・!?

ついつい義兄・沖田林太郎に目が行ってしまいますが、庄内藩を指揮する家老・酒井吉之丞(玄蕃)の存在が実にユニークであり、スマートでもあり、頼もしい。

明治維新を扱った第一級のエンターテインメント


水神 [book] [番外編]

sample3.jpg帚木蓬生/新潮社/お薦め度 ★★★★☆

今、時代物が熱い!?

江戸時代、久留米藩における、百姓による一大堰渠事業

発起人の五人の庄屋、その覚悟のほどもすごいが、それを後押しする下奉行、商人。下奉行に見る武士の本分、商人に見る商人魂もすごい。

幾代にもわたる百姓たちの思いを淡々とした筆致で描いた超大作。